地域づくりのしくみ
地域商社とは

地域商社とは、地域の農林水産品・加工品・工芸品・観光資源などを掘り起こして商品に磨き上げ、地域の外への販路を開拓し、得た収益や知見を生産者に還元する事業者のことです。
最終更新: 2026-10-18|別名: 地域商社・地域商社事業・地域商社ネットワーク・社会課題解決の担い手・地域産品 販路開拓・ローカル10,000プロジェクト・銀行業高度化等会社
地域商社を直接定める法律はありませんが、国は地方創生の柱の一つとして支援してきました。総合戦略では「モデル的地域商社の設立数」を2020年に100とする目標を掲げ、2018年5月時点で64でした。内閣府は2024年度から、地域商社を含む「社会課題解決の担い手」の起業支援へ対象を広げ、地域商社向けの会員制ネットワークを廃止しています。総務省のローカル10,000プロジェクトは2026年度に助成上限を最大5,500万円へ引き上げ、地域商社の立ち上げにも使える支援が広がっています。
制度の根拠
| 根拠 | 地域商社を直接定める法律は確認できません。国は、交付金・融資・税制などの既存の制度を組み合わせて支援しています。 |
|---|---|
| 所管 | 内閣府(地方創生推進室。現在の事業ページは地域未来戦略本部名義)が取りまとめ。支援メニューは内閣官房・内閣府・農林水産省・経済産業省・国土交通省・日本政策金融公庫が共同で公表しています(2024年2月)。 |
| 開始 | 法律上の開始日はありません。まち・ひと・しごと創生総合戦略で「モデル的地域商社の設立数」をKPIとし、2017年に16、2018年5月に64と実績を追ってきました(2020年目標100)。 |
| 公的な位置づけ | 金融庁の2019年10月の内閣府令等改正で、銀行が監督官庁の認可を得て「銀行業高度化等会社」に直接出資(100%まで)できるようになり、地域の産品・サービスの販路を新しく開拓して収益や知見を生産者に還元する会社(いわゆる地域商社)もこれに含まれ得るとされました(いわゆる5%ルールの緩和)。 |
| 主な国の支援 | 地方創生関係交付金(地方創生推進交付金→デジタル田園都市国家構想交付金など)による自治体の地域商社の設立・拡大・施設整備への支援、地方創生起業支援事業(起業支援金 最大200万円)、日本政策金融公庫の融資、ものづくり補助金、地域未来投資促進税制など。 |
| ローカル10,000プロジェクト | 総務省の地域経済循環創造事業交付金。地域資源と地域金融機関の融資を組み合わせた新しいビジネスの初期投資(施設整備・改修費、機械装置費など)を支援し、全ての産業分野で使えます。公費による助成上限は融資額に応じて最大5,500万円(2026年度拡充)です。 |
| 支援の再編 | 内閣府は2022年度から地域商社ネットワークの運営やオンライン研修を行ってきましたが、2024年度に会員制を廃止し、地域商社を含む「社会課題解決の担い手」の起業促進へ支援を広げました。 |
最新の数字
| モデル的地域商社の設立数 | 64(2018年5月時点)。2017年は16、2020年目標は100 2019年1月28日(まち・ひと・しごと創生総合戦略KPI検証資料) |出典 |
|---|---|
| 地域商社ネットワークの会員 | 965名(うち約4分の1が地域商社の起業予定者。ただし実際の起業は数件) 2023年11月末時点(内閣府 令和6年度事業結果報告書、2025年3月) |出典 |
| ローカル10,000プロジェクトの助成上限 | 最大5,500万円(融資額が公費の4倍以上の場合) 2026年4月(総務省資料、2026年度拡充) |出典 |
| ローカル10,000プロジェクトの予算 | 2026年度当初予算額6.7億円(2026年4月の総務省資料では案として記載)、2025年度補正予算額21.2億円 2026年4月(総務省資料) |出典 |
| 積丹半島3町村の地域商社事業の総額 | 650,100千円(2016〜2020年度、計画ベース)。2018年度実績154,843千円 2020年3月(内閣府 令和元年度版 地方創生関係交付金の活用事例集) |出典 |
代表的な事例
- 北海道神恵内村・岩内町・泊村(積丹半島地域活性化協議会(3町村・漁協など)) 2016
3町村が連携し、ナマコの養殖と乾燥ナマコなどの輸出を目指す事業で、2年目に3町村出資の地域商社をつくる計画としました。生産は漁協、販売は地域商社と役割を分け、交付金が終わる5年以内に行政の支援なしで生産から販売までを回す体制を目指しています。地方創生推進交付金を活用しました。 出典 - 北海道上ノ国町(株式会社上ノ国町観光振興公社) 2016
道の駅「もんじゅ」を運営する町の観光振興公社を地域商社化し、地元のヒラメ(てっくい)やゴジラ海老を使った特産品開発や、Webを使った販路拡大に取り組みました。2017年度は特産品の販売額が前年度比5,696千円増え、新規雇用は2人でした。 出典 - 茨城県桜川市(桜川市地域商社設立準備協議会) 2020
小規模な事業者が単独では販路を開けないことを課題に、生産者を取りまとめてブランド化・マーケティング・販路開拓・観光商品開発を担う地域商社の設立に取り組みました。事業総額は62,250千円(2020〜2022年度、計画ベース)です。 出典 - 愛知県岡崎市(岡崎市林業6次産業化プロジェクト) 2019
林業で地域活性化の実績がある企業と市内の林業・木材加工業者で地域商社をつくり、岡崎市産材の製品化と販路拡大を進める計画です。市も出資を予定し、半官半民にすることで他の自治体との連携を進めやすくするとしています。 出典 - 熊本県水上村(株式会社みずかみ(地域商社)・水上村) 2024
主力のイチゴや生しいたけが長く保存できないことなどを課題に、デジタル田園都市国家構想交付金で農産物加工所を増設し、村と地域商社が加工品のブランディングに取り組む計画です。カフェスペースで観光客にも加工品を提供します(2024年2月の国の支援メニュー資料に掲載)。 出典
地域の土地・宿・運営者にとっての意味
小さな生産者が一社ずつでは難しい商品開発・販路開拓・ブランディングを、地域でまとめて担う仕組みです。自治体出資や交付金で立ち上げる例が多い一方、国の資料は交付金終了後の自立を求めており、内閣府の報告書も起業予定者が実際の起業に結びついた例は数件にとどまるとしています。補助金に頼らず収益を上げる設計が、続くかどうかを左右します。
よくある質問
地域商社に法律上の定義はありますか?
地域商社を直接定める法律は確認できません。金融庁は2019年10月の府令改正の説明で、地域の産品・サービスの販路を新しく開拓し、収益や知見を生産者に還元する会社を「いわゆる地域商社」と説明しています。
地域商社は誰がつくりますか?
自治体が出資する会社、既存の観光公社や道の駅の運営会社、民間企業、銀行が出資する会社など、さまざまです。北海道上ノ国町は町の観光振興公社を地域商社にしました。
国の補助金や交付金は使えますか?
自治体が地域商社の設立・拡大や施設整備に取り組む場合は地方創生関係の交付金、起業する個人は地方創生起業支援事業(最大200万円)、初期投資には総務省のローカル10,000プロジェクト(助成上限は最大5,500万円)などがあります。
銀行は地域商社に出資できますか?
できます。2019年10月の金融庁の府令等改正で、銀行は監督官庁の認可を得て、地域商社を含む「銀行業高度化等会社」に100%まで直接出資できるようになりました。
地域商社はいくつありますか?
全国の総数を示す最新の公的統計は確認できません。国の総合戦略では「モデル的地域商社の設立数」が2018年5月時点で64でした(2020年目標100)。
DMOとの違いは何ですか?
DMOは観光庁の登録制度にもとづき観光地域づくりの戦略と合意形成を担う法人で、地域商社は産品やサービスの商品化と販路開拓を担う事業者です。DMOには観光庁の登録制度があり、地域商社には登録制度がない点が異なります。どちらも法律で定められた組織ではなく、両方の機能を持つ組織もあります。
関連するしくみ
出典
- 内閣府「地域の社会課題解決に資する起業者展開推進事業」(旧 地域商社事業ページ) (2026-10-18)
- 内閣府 各府省庁の地方創生関連施策【基本目標1】 (2026-10-18)
- 内閣府 令和6年度地域商社等ネットワーク強化・発展支援事業 結果報告書 (2026-10-18)
- 内閣府 令和7年度社会課題解決の担い手展開推進事業 結果報告書 (2026-10-18)
- 内閣官房・内閣府・農林水産省・経済産業省・国土交通省・日本政策金融公庫「地域商社に関する支援メニュー」 (2024-02-29)
- 内閣府「まち・ひと・しごと創生総合戦略のKPIの検証について」 (2019-01-28)
- 内閣府 令和元年度版 地方創生関係交付金の活用事例集 (2026-10-18)
- 内閣府 平成30年度版 地方創生関係交付金の活用事例集 (2026-10-18)
- 内閣府 令和3年度版 地方創生関係交付金の活用事例集 (2026-10-18)
- 総務省「ローカル10,000プロジェクトについて」(令和8年4月) (2026-04-01)