地域づくりのしくみ
農泊とは

農泊とは、農山漁村に宿泊し、滞在中にその土地の食材や景観、暮らしなどの地域資源を生かした食事や体験を楽しむ「農山漁村滞在型旅行」のことです。
最終更新: 2026-10-18|別名: 農山漁村滞在型旅行・農泊推進対策・農泊推進型・農家民泊・農林漁業体験民宿・農泊地域・グリーン・ツーリズム
農林水産省によると、国の交付金で農泊に取り組む地域(農泊地域)の延べ宿泊者数は令和6年度に868万人泊となり、前年度から73万人泊増えました。インバウンドは75万人泊です。国は令和11年度までに延べ宿泊者数1,200万人泊、宿泊等の売上額2,200億円を目標にしています。現在は、交付金の中で「地域資源活用価値創出対策のうち農泊推進型」として支援しています。
制度の根拠
| 根拠 | 予算事業(農山漁村振興交付金)。関連法として、農林漁業体験民宿業の登録制度などを定める「農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律」(農山漁村余暇法、平成6年法律第46号)があります。 |
|---|---|
| 所管 | 農林水産省(農村振興局 都市農村交流課 農泊・里業推進室)。観光庁などと連携 |
| 開始 | 2017年度(平成29年度)から農山漁村振興交付金で農泊地域の支援を開始(実績調査は同年度の206地域から) |
| 現在の事業名 | 農山漁村振興交付金(地域資源活用価値創出対策)のうち 地域資源活用価値創出推進・整備事業(農泊推進型)。令和8年度予算額は交付金全体で70億4,500万円の内数 |
| ソフト支援 | 農泊地域創出(推進体制の整備、観光コンテンツの造成、Wi-Fi整備など)は定額・上限2年・1,000万円。経営強化は上限500万円、インバウンド向けの「食」コンテンツ造成は上限3年・1,500万円。人材活用事業(専門家 上限650万円/年など)もあります。 |
| ハード支援 | 古民家などを活用した滞在施設・飲食施設・体験施設の整備は補助率1/2・上限2,500万円(事業期間)。農家民泊などの小規模改修は1/2・上限1,000万円/経営者(5,000万円/地域)。 |
| 政府目標 | 食料・農業・農村基本計画(2025年4月11日閣議決定)と観光立国推進基本計画(2026年3月27日閣議決定)に、令和11年度までに延べ宿泊者数1,200万人泊・売上額2,200億円を位置づけ |
最新の数字
| 農泊地域の延べ宿泊者数 | 868万人泊(867.6万人泊。前年度比73万人泊増) 令和6年度(農林水産省「令和6年度実績調査」2025年10月実施) |出典 |
|---|---|
| うちインバウンド | 75万人泊(74.8万人泊。宿泊者の8.6%) 令和6年度(令和8年8月13日時点の農水省資料) |出典 |
| 農泊地域の数 | 673地域(交付金で採択された地域) 令和6年度(農林水産省 実績調査) |出典 |
| 農泊地域における宿泊等の売上額 | 1,598億円(目標は令和11年度2,200億円) 令和6年度(令和8年8月13日時点の農水省資料) |出典 |
| 延べ宿泊者数の目標 | 1,200万人泊(令和11年度まで) 食料・農業・農村基本計画(2025年4月11日閣議決定) |出典 |
| 農泊地域の平均宿泊費 | 13,196円(観光旅行全体の平均18,940円より安い) 令和6年度 |出典 |
| 国の支援で整備した古民家の宿泊施設 | 累計123軒(平成29年度の11軒から約11倍) 令和6年度 |出典 |
| 農泊インバウンド受入促進重点地域 | 40地域 令和7年度 食料・農業・農村白書 |出典 |
代表的な事例
- 三重県大紀町(一般社団法人大紀町地域活性化協議会) 2024
旅館やホテルがほとんどない町で、体験民宿の開業支援やワンストップ窓口を担っています。2024年時点で体験民宿・キャンプ場などの宿泊施設は25軒以上、年間3千人以上の宿泊者を受け入れ、70種類以上の体験プログラムを用意しています。 出典 - 長野県佐久市(SAKU酒蔵アグリツーリズム推進協議会) 2023
現役の酒蔵での蔵人体験を2泊3日89,800円/人などの高単価で提供しています。令和5年度はインバウンド率40%(31か国)を達成しました。泊食分離にして地域の飲食店にも客が流れるようにしています。 出典 - 福井県小浜市(内外海地区活性化プロジェクト推進協議会) 2026(農水省資料掲載)
農林水産省は、インバウンドのニーズに対応した施設改修の例として紹介しています。 出典 - 山梨県笛吹市(笛吹市農泊観光ツーリズム推進協議会) 2026(農水省資料掲載)
農林水産省は、体験を組み合わせた食事メニューの例として紹介しています。 出典
地域の土地・宿・運営者にとっての意味
空き家の古民家や地元の食、農作業などを、宿泊と体験を組み合わせた商品に変えて地域に売上をつくる仕組みです。地域協議会が国の交付金でソフトとハードの両方を整えられる一方、平均宿泊費は観光全体より安いため、国も高付加価値化を課題としています。教育旅行や企業研修の受け入れを通じて、関係人口の入口にもなります。
よくある質問
農泊と民泊は同じですか?
同じではありません。民泊は住宅に人を泊める宿泊形態(住宅宿泊事業法など)です。農泊は農山漁村での滞在型旅行全体を指し、旅館・ホテル・農家民宿・民泊など宿泊の形は問いません。
農泊地域はいくつありますか?
農山漁村振興交付金で農泊推進の支援に採択された地域は、令和6年度の実績調査で673地域です。
農泊の宿泊者はどれくらいいますか?
農泊地域の延べ宿泊者数は令和6年度に868万人泊で、うちインバウンドは75万人泊です。国は令和11年度までに1,200万人泊を目指しています。
どんな支援が受けられますか?
地域協議会などが、推進体制の整備や観光コンテンツの造成(定額・上限1,000万円など)と、古民家などを活用した滞在施設の整備(補助率1/2・上限2,500万円など)を受けられます。最新の要件は毎年の公募要領で確認してください。
誰が申請できますか?
主に、自治体や観光協会、農林漁業者、宿泊・飲食事業者などでつくる地域協議会が対象です。施設整備は中核法人等が実施主体になります。
農家民宿を始めるにはどうすればよいですか?
旅館業法の許可や住宅宿泊事業法の届出などが必要です。農山漁村余暇法には農林漁業体験民宿業の登録制度があります。具体的な手続きは都道府県や保健所に確認してください。
関連するしくみ
出典
- 農林水産省「『農泊』の推進について」 (2026-10-18)
- 農林水産省「農泊をめぐる状況について(令和8年8月13日時点)」 (2026-08-13)
- 農林水産省「農泊の現状」 (2026-10-18)
- 農林水産省「令和8年度予算 農山漁村振興交付金(農泊推進型)」 (2026-10-18)
- 農林水産省 令和7年度 食料・農業・農村白書 第6章第2節 (2026-10-18)
- 農林水産省「農山漁村余暇法」 (2026-10-18)